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赤:休刊日
黄:特別号


千葉のブルワリースペシャル
寒菊銘醸] [ロコビア
5月23日(水) 見学日:5月20日(日)
item ロコビア
次なる目的地は佐倉市にあるロコビアです。 店の前に“ロコ”っぽい人がタムロしていましたが、ブランド名とは関係ないと思います。
(写真をクリックすると640x480または480x640に拡大されます。)



このビールを造っているのは、千葉県内でも有数の酒の安売り店「シモアール」です。 県内に10数軒ある販売店のうちユーカリが丘店の奥に工場があります。 店内の一番奥にカウンターがあり、そのさらに奥が工場となっていました。 醸造室は本当に小さな部屋で、所狭しと醸造用プラントが置いてありました。 仕込み量は500リットルで、社長の下野さん曰く「日本一小さなブルワリ」だそうです。 この写真の右手が仕込み釜、左手が醗酵タンク(2基)となっています。 左手前にある背の高い醗酵タンクのようなものはワイン保存用のタンクだそうです。 最初に粉砕を行うミルから見せてもらいました。 このミルは2ローラー式で構造的にはホームブルワーが使うローラーミルと変わらないそうです。 非常に小さなミルで、25kgの麦芽を一袋入れるとホッパーがいっぱいになってしまうそうです。 このような小さなミルはなかなか無いそうで、これだけがドイツ製だとのことです。(他はアメリカ製)
2ローラー式のため常に麦芽を均一に挽くことが難しく、毎回調整して使っているとのことです。 そのために6ローラーで挽いた麦芽のサンプルが置いてありました。 挽かれた麦芽はサイロに運ばれます。 実はこちらのブルーマスターは小柄な女性だそうで、彼女一人だと重たい麦芽をミルまで運ぶのが大変だという配慮から、仕込み日の前日に社長が挽いてサイロに溜めておくと言うことでした。 このサイロも醗酵タンクの小さいものを流用している感じです。
醗酵室のさらに奥の部屋にラガーリングタンクカーボネーションタンクが置いてあります。 さすがにラガーリングタンクなどが置いてある部屋だけあって、冷蔵庫よりも低い温度に保たれていました。
ここでは、現在熟成中の“若い”ケルシュをテイスティングさせてもらいました。 まだダイアセチルも残っており、これが数週間後にはクリーンなケルシュになるとのことです。 年に一度程度しか仕込まないというヴァイツェンも飲ませていただきました。 こちらはそろそろ店に並ぶようですが、バナナ香がしっかり出ているヴァイツェンで良いできでした。 ビン詰め装置はよく見かける、手作業で行うものですが、面白かったのはその左にある洗浄・殺菌装置でした。 オゾンを使って洗浄・殺菌するそうで、これはビンをリサイクルしないで常に新品のビンを使っているからこそ、それだけで殺菌ができるみたいです。 使い回しのイーストも見せてもらいました。 以前は3回程度の使い回しだったそうですが、イーストの洗浄に海洋深層水を使うようになってからイーストの死菌率が極めて低くなったそうで、今では5回は使い回しているそうです。 ホームブルーでもイーストの使い回しの際に海洋深層水を使ってみると違ってきそうです。 良いことを教えてもらいました。




金賞受賞も当たり前か?!
もともとはエクストラクト醸造から始めたそうですが、その頃は品質的にも余り良いビールとは言えず、ある展示会では「千葉県の恥」とまで言われたそうです。 これがきっかけで全ての装置を入れ替え、グレイン醸造に切り替えたということです。 前の装置の減価償却も済んでいないことから会社のお金は使えず、私財をなげうって買ったそうです。 少しでも安くするため、製造業者から直接インターネットを通じて購入し、配管なども自分で行ったとのことです。 (この辺の話は同社のホームページで読むことができます。)
このような経緯から「他社に後れを取った」という思いが強いようで、これが非常な研究熱心さの原動力となっているようです。 この“遅れ”を取り戻すために、毎回様々なパラメータを数値化して記録することで、長年の“カン”に頼ることなく上質なビールの醸造を可能にしているとのことです。 現在造っているピルスナーもまだまだ実験段階で、試行錯誤の繰り返しだということです。 社長の話を聞いていても「本当に良く勉強しているなあ」という感じが話の端々に出ていて、これなら金賞を何度も受賞するのは当たり前だと思いました。
2種類のケルシュ
「世界で最もケルシュがたくさん飲める国」と言われるほどに、日本の地ビールメーカーは良くケルシュを造っています。 しかしながら、同じメーカーから複数のケルシュを出していると言うのはロコビアをおいて他に無いと思います。 これには同行したビアトレックのクリスちんも興味深く聞いていました。 ケルシュと言えどもいろいろあるからあえて複数出しているのがその理由のようですが、その背景には日本だと個性の強いビールは売れないという事情もあるようです。 社長としては売れるのならいろいろなバリエーションを造りたいと思っているようです。
60klを達成するために
これだけのビールを造ってもなかなか販売数が伸びず、年間60klを達成するのはなかなか難しいそうです。 この数値をクリアできないとビールの醸造免許が取り上げられてしまう可能性があるそうで、非常に深刻な問題だそうです。
自分の店以外に販売チャンネルを確保するのが難しいというのが一番の問題点のようで、酒販売店が造るビールならではの問題点と言えるでしょう。 多くの酒屋にとって母体であるシモアールは商売敵ですから、わざわざ敵に塩を送るようなことはやりたくないと言う他の酒屋の気持ちは理解できます。 一方、飲食店への販売は、千葉周辺でこのビールを置いている店は全く無いようなので、これからの営業努力にかかっていると言えそうです。 (西千葉周辺にアンテナショップを!)
その他にひとつの案として、ホームブルワーが考えたレシピで仕込んでそれを限定で売るという面白そうなことも考えているそうです。 我々としては、是非とも実現してもらいたい案であります。
ぜひ千葉県を代表するビールに
昨年から行きたいと思っていたブルワリーのひとつだったのですが、やっとのことで行くことができました。 思った以上に研究熱心な社長で(今回はブルーマスターには会えませんでした)これからビールのバリエーションが増えてくればますます面白いメーカになりそうな気がしました。 やっぱり向上心のあるメーカーは違うな、と言うのが一番の感想です。 是非とも千葉県を代表するビールメーカーになって欲しいと、一県人として思います。
おまけ
カウンターにあったフォーセット。 デンマーク製で全く液垂れが無いそうです。 その秘密はコックにあります。
コックの栓が注ぎ口から一段太くなっているところまであって、そのためコックを閉めたときに残る液の量が極わずかで、液垂れが起こらない仕組みになっています。
また、オールステンレスのため伝導率が高く、ブリッジとフォーセットを繋ぐ部分に冷却コイルを入れておくことで、フォーセットの先端まで冷却しておくことが可能。 そのため雑菌の繁殖が最低限に抑えられるという利点もあるそうです。
シモアールでは全店にこれを置いてあるそうです。 (ただしワインなどの計り売り用)
ビール用に使うときの唯一の問題点は、ファッション・ハンドルを取り付けられないこと。 これはビールファンとしては致命的な欠点かも。
明日からレギュラー更新の予定です。
Hopが届いて冷蔵庫が一杯。
5月22日(火) 見学日:5月20日(日)
item 寒菊銘醸
千葉のブルワリ・ツアー第一段は「九十九里オーシャンビール」を製造している寒菊(かんきく)銘醸を訪ねました。 場所は九十九里浜のすぐ近くにある山武郡(やまたけぐんではない)松尾町にあります。
(写真をクリックすると640x480または480x640に拡大されます。)



この日(5月20日)は年に一度の蔵開きの日と言うことで沢山の人で賑わっていました。 なかなか日本酒の蔵と言うのも見に行かないので、ついでに見てきました。 薄暗い蔵はいかにも「日本酒」を造っているという雰囲気を醸し出しており、ずらり並べられたタンクには圧倒されます。 この写真の左手が貯蔵タンク、右手が醗酵タンクです。 醗酵タンクには足場が掛けられているのがわかります。 この足場に乗って櫂を使ってかき混ぜたりするそうです。 蔵のすぐ脇には米を蒸す場所がありました。 かつては実際に火をたいて蒸していたそうですが、現在はスチームボイラーを使っているそうです。 この穴に大きな釜を乗せて米を蒸すとのことです。 一回に900kgの米を蒸すことができるそうです。 蔵開きの日と言うことで麹室まで公開していました。
もう少し研究の余地あり?!
ビールのプラントも見学したかったのですが、日本酒に比べてビールはアルコール度が低く雑菌汚染の心配があるので見学は原則として受け付けていないとのことでした。 そんなわけでパブからガラス越しに見えるだけでした。 ビールのラインナップは「ペールエール」「ヴァイツェン」「スタウト」「ピルスナー」の四種類。 普段はビンでしか見かけることが無く、なかなかケグ詰めのものを飲む機会が無いので全種類のんでみましたが、数年前に飲んだビン詰めのものと変わらない感じでした。 ビン詰め機に結構良いものを使っているのでしょうか。

肝心の味の方ですが、「ペールエール」はDMSがかなり強くあまり良いとは思いませんでした。 数年前に比べて少しは変わったかと思っていたのですが、ほとんど変化なしという感じです。 どうもこちらで使っているプラントは火力が弱いという評判のものらしく、そのためDMSが飛ばないのではないかと思われます。 チェコのピルスナー・ウルケルは弱火で長時間煮込むそうですが、これをまねて煮込み時間を長くしたら少しはDMSが飛ぶのではないかと勝手に想像しています。 ペールエールがいまいちだったので他のビールもダメかと思ったのですが、これが以外と行けていました。 特にピルスナーはペールエールからは想像できない出来だと思います。 ヴァイツェンもバナナ香よりもクローブ香が強く面白いと思います。
そんなわけで、明日も続きます。
論文掲載の通知が来ました\^o^/ あと一週間早く来てたら学振の書類に書けたのに。。。 あ〜、またなんか書かなきゃ。